07 Mar 09

########### サドルの選び方 ##########
■川添早己 zo883@ybb.ne.jp

なかなか投稿したいのですが只今、迷惑メールの連続撃退状況なの
で、OFFシーズン機材ウンチクの最後のリクエストです。

「サドル」です。タイヤと同じくこの10年で進化したと思います。
フレーム・ホイール等、一次的要素機材のなかで何故か国産が目立
たないパーツ。ハンドル、シューズと同じく個人のフィットのポイ
ントがあります。

替え次期、重量より安全性を優先した選び方などあればお願いしま
す。長年のバイカーでも結構迷っています。

#辻本から/
サドルほど難しい部品はないと思います。特に女性用のサドルの難
しさは男性用の比ではありません。突き詰めて書くと数百行にもな
るでしょうが、ここではあらましだけを書くだけにしておきます。

高価なサドルを買えばお尻の痛みが無くなるなら話は簡単ですが、
そうは問屋が卸さないのです。例えばうちで隠れたヒットになって
いる selle ITALI の C2というサドルがありますが、これは表皮が
合皮の廉価モデルですが、1.5千円を超すサドルより良いという人
が多いのです。生産中止になると聞いてたくさん仕入れたくらいで
す。

・サドルに求められる性能とは
「とりあえず痛くないサドルが欲しい」と思っている人が多いと思
いますが、ブルベのように600km とか1200km とか、ちょっと想
像出来ない距離を走る人に言わせると、「このサドル、600km ま
では良かったんだけど、600km を超したくらいから痛くなり出し
た」と言うふうに人によって求めるものが違います。

トライアスロンをやる人は DHポジションが多いので座骨より尿道
の痛みを和らげてくれる方が有り難いのです。トライアスロン用と
銘打つサドルが市販されています。使っている人が多いと思います
が、その大部分はサドル前方部分が太過ぎるために太ももの内側が
擦れたり、膝が開いてしまうという欠点があります。トライアスロ
ン用サドルの中で私がお客様に奨めているのは FIZIK だけです。

ヒルクライマーはサドルの掛かる荷重が少ない上、使う時間が少な
いのでパッドの量は関係なく、お尻のホールド性の良いものが良い
でしょう。DH ポジションではペダリングの向きが下向きですが、
ヒルクライムでは前に踏み出すようなベクトルです。その為お尻が
後へ下がり気味になりますから、それを押さえるようなサドルが好
ましいのです。もちろん重量も大切な要素となります。

余談ですが、トライアスロンの場合、サドルの後にボトルを積むこ
とがあります。一部のサドルではボトルケージホルダーを装着出来
ないのもありますから可購入する時はその点を確認すべきです。

・痛いサドルと痛くないサドル
普通、お尻が痛いという時、座骨の先端が痛いことが多いのです
が、サドルに対する骨盤の角度(立っている、寝ている)や座骨と
サドルの間に有る脂肪の厚みによって個人差が生まれます。痩せ形
で脂肪層の薄い人は痛みを感じることが多く、太っている人は概し
てサドルには無頓着です。

室内トレーニングを長時間続けるとお尻が痛くなりやすいのです
が、これはペダルに掛かる荷重が少なく、上半身の荷重がお尻にか
かるために起こる現象です。つまり道路を走っている時も同じで、
ペダルに大きな力がかかっている人はお尻に掛かる荷重が少ないの
で痛くはなりません。クルクル回す人は痛くなりがちです。

痛みを感じる人がまず考えることは、「パッドの分厚い柔らかいサ
ドルにすれば痛くなくなる」ですね。確かにその通りですが、これ
には落とし穴があります。

パッド(ウレタンスポンジが多い)は荷重が掛かると凹みます。凹
むとお尻が下に下るので尿道の方に圧力が生まれるということで
す。骨盤が寝ている人にその傾向が強いようです。また凹みにお尻
が落ち着いてしまうので、前後に動かしにくくなり、ペダリングを
変えて違う筋肉を使うという高等技術を使いにくくなってしまいま
す。

・サドルのサイズ
サドルにもサイズがあります。結構大切なのですが、見逃されてい
ることが多いようです。まず、「長さ」。普通のサドルは27cm 前
後ですが、デザイン的に前後に枝が伸びているものもありますが、
前に付き出しているサドルは自転車競技規則で使えないと判定され
ることもありますから要注意です。(特に小柄な人)

次に「全幅」です。これが結構個性的で、いろんなサイズがありま
す。女性用と男性用で幅が違うことは皆さん良くご存じだと思いま
すが、男性用にも色々あることを覚えておいて下さい。細身でお尻
の小さい人が幅広のサドルを使うとサドル後方に座れなくなりま
す。つまり前乗り専用サドルになってしまうのです。

もう一つの「幅」はサドル中央部の幅です。骨盤の狭い人、太もも
の太い人は中央部の幅が広いサドルを使うと膝が開く、ペダル下死
点で内股が痛くなるなどのトラブルが生じます。

次に見て欲しいのは「高さ」です。ワイヤーベースからサドルトッ
プまでの高さ、厚みと言うことも出来ますが、小柄な人の場合、自
転車を格好良く見せる為には結構重要な要素です。

・耐久性
最近は軽いのが流行りですが、競技中に良く壊れています。サドル
の無い自転車にずっと立ち漕ぎしていたという笑えない話もありま
す。200g 以下のサドルは要注意です。特に長い距離を走る場合は
避けるべきですね。またワイヤーベースが非金属(カーボン)の製
品も見かけますが、シートポストとの相性や締め付けトルクなど、
コントロールの難しい機材ですから避けた方が無難です。樹脂ベー
スがやたらフワフワしたサドルも耐久性に問題があると考えていま
す。確かに乗り心地は良いのですが壊れては元も子もありません。

・ゲル入り、エア入り
ゲルの入っていないサドルを探すのが難しいくらいゲル入り全盛で
すが、私は嫌いです。「ゲル入りにメリット無し」だと思ってま
す。ウレタンスポンジの方が余程サドルには適しています。20年
ほど前のことですが、ミズノのサイクルウエアの開発に協力してい
た頃、たまたまゲルのブームで、グルーブやパンツに試してみまし
たが、結果はざんざんでした。衝撃を吸収するという謳い文句ですが、
グルーブやパンツに仕込めるような薄い(体積の小さな)ゲルでは
何の役にも立たないのです。これはサドルにも言えることで、コス
トが高くなる、重くなる・・ではないでしょうか。ゲル入りを気に
入って使っている人、不愉快な思いをさせて申しわけありません。

エア入りサドルは私も試作したことがありますが、ゲル入りより貼
るかに可能性を感じました。ただ空気圧の調整が難しく、商品化は
諦めました。

・FLOW /フロー
もともとは Terry の専売特許でしたが、特許の期限が切れたの
か、いつの間にかほとんどのメーカーから発売されています。尿道
部分に圧力がかからないので非常に楽ですし、サドル中央に穴があ
ることで樹脂ベースが柔らかくなり、全体としてとてもソフトな乗
り心地になります。長距離を走る人にはお奨めしやすいサドルで
す。穴あきのサドルをなぜ FLOW と呼ぶのか、訳を知っている人
がもしいらっしゃれば是非教えて下さい。

・材質
外皮に牛革を使い、パッドはウレタンスポンジ、その下に樹脂ベー
ス、チタンなどの軽量金属のワイヤーベース、これが今最も多いサ
ドルの材質です。廉価版サドルでは、外皮が合成皮革になり、金属
ベースが鉄パイプになったりします。ただ FIZIK のように合皮な
がら1.6千円を超すようなサドルもありますから一概には言えませ
ん。

使われている数は少ないのですが、BROOKS や SELLE ANATOMICA
のような一枚皮を使ったサドルも健在です。その座り心地には捨て
がたい味があります。今、僕が製作中のクロモリスポルティーフに
は BROOKS SWALLOW か SWIFT を使おうと思ってます。

・女性用
男性用サドルでも十分に難しいのですが、女性用はその数倍も難し
いのでここで詳しく説明することは出来ませんが、体の作りが男性
より個性的なので、そこが一番難しいとだけ書いておきます。この
項は改めて書かせて下さい。

今、6回表、13対2。こんな試合になるとは思ってませんでした。
これからまだホイルを組まなきゃならないのでこの辺で終わります。
あっ、買い替え時期、これもまた今度。手入れのことも・・・


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